着物を「普段着」に
着物姿に憧れても、実際に着てみようとする女性たちは少ない。
「もっと日常的に着物を着てみては」と、若い人たちに呼びかけているのは、
きものファッションリーダーの岡田ゆにさん(28)だ。
その実践方法を聞いた。
高い、動きにくい、難しい
若い人たちが着物を着ない大きな理由として、
「着物は高い」「動きにくい」「着るのにじかんがかかる」の三つがある。
このハードルをどう超えるのか。
まず「高い」という点は、古着をうまく活用することだ。
最近は、低価格でしゃれた着物が手ごろな価格で手に入る。
古着なら多少汚れても気にならない。
私自身は、モデルをするとその着物がそのままもらえるという仕事をしたり、
また「普段、着物を着ている」と周囲に話すと、いろいろな人がタダでくれる。
それだけ、タンスのこやしで、捨てるに捨てられない着物が多いのだ。
古い物には珍しい柄があるし、たとえ地味でも小物類などでカバーすれば、
それなりに楽しめる。
これはリユースであり、リサイクルなので、資源の無駄を防ぐことにもなる。
古着や自由な着方で解決
着物姿では、大股で歩けないし、まして走ることはできないという人も。
しかし、着方次第では、いつも通りの動作ができる。
例えば、長じゅばんの代わりに、下着にキャミソールやTシャツ、
スパッツやタイツなどで対丈(ついたけ)の着物を羽織り、半幅の帯を
ベルト風に結ぶと着流し風でラフな雰囲気になる。
ストールを巻いたり、足元はサンダルやブーツ、長靴など、
洋服感覚で装うと動きもスムーズだ。
おはしょりをしても、帯をベルト風に扱うと楽だし、
雨の日などももんぺ風のサルエルパンツを履くと、裾さばきがよくなる。
最近は、祭りのときの地下足袋を履いているが、とても動きやすい。
このような装い方なら、手間もかからず、簡単だ。
パーティーでレンタルの着物を着たのがきっかけで、興味を持ち、
今では毎日、着物で過ごすようになった。
最初は周囲の目も気になったが、自由におしゃれできるのが楽しい。
幅が広い着物でも、ウエストにギャザーを寄せて帯を締めれば調節出来るし、
畳めば収納しやすい。
考えるより、まず着てみると、洋服とは違った新しいおしゃれの世界が広がるはずだ。
岐阜新聞 2015年10月20日(火) 掲載
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