あなたが今着ている衣服は誰のどんな想いの元に生まれたのかを知っていますか?
大量生産・大量消費の時代を経てフェアトレードな視点に変わりつつあるファッション。
エシカルファッションのひとつにもなりうる着物を今考えてみる。
エシカルファッションから着物を考える
エシカルファッションとは
私もつい先日知ったエシカルファッションと言う言葉。
ethical(英語)…倫理的な、道徳上の。道徳規準にかなった、道徳的に正しい。
この「道徳」というのも一人一人の感覚で違い、正直あやふやで基準や正解がないもの。
だから、正解は一つではなくて沢山ある。その人の考え方の数だけ。
私的に解釈すると自分にとって「善の選択肢」というのがひとつの基準だと思う。
エシカルをファッションで言うと、その物に関わりのある全てのもの、
人(作り手,買い手,売り手)も自然環境も笑顔になれるファッションがエシカルファッション。
ethical fashion japanさんが様々な具体例をわかりやすく表記してくれているので
ぜひご覧下さい。【ETHICAL FASHION JAPANのHP】
エシカルファッションな着物
エシカルファッションに洋服も着物も関係ない。人それぞれ選択は自由。
今回これを題材にしたのはエシカルファッションというキーワードで今一度日本について
着物について視野を拡げるきっかけになったならと思い、
今回は「エシカルファッションな着物」に、絞ってお伝えします。
エシカルファッション×着物=「自然素材」
科学技術の進歩により今でこそ多くの化学繊維があって選択肢が沢山あるけど、
昔はシンプルに自然から頂いた麻や絹などを紡いで染めて織って纏うのが普通だった。
まだまだ着物は自然素材で作られているものの方が圧倒的に多い。
全身が自然素材のもので包まれ、まるで着物と自分とが一体になるような密着感から来る
この感覚は着物独特で、圧倒的な心地よさが得られる。
自然素材には人間が考える以上の生命力があり、きちんと手入れをすると
代々繋いで行ける程に何十年何百年と長持ちする。
エシカルファッション×着物=「伝統的な技術」
着物は日本の伝統的な物の一つで、様々な人の手による伝統的な技術が詰まっている。
もの凄く細かい模様から、気の遠くなる様な作業の一つ一つにそれぞれの作り手の方々と
それを今迄絶やさずに繋いで来た日本の先人達の想いが詰まっている。
今その後継者問題が、着物に限らずどの伝統的文化の産業でも起こっている。
私達が着物や日本、伝統技術に目を向ける事で、今にもなくなりそうな日本を
救えるかもしれないと言う事を今一度考えて欲しい。
エシカルファッション×着物=「ライフサイクルの無駄を削減」
着物を着ると圧倒的に洗濯の回数が減る。
夏場、汗をかく時期でなければ必要以上に着物も帯も洗濯しないからだ。
肌着、下着類のみになるので洗剤や水を無駄に使用しない。
また物持ちが良いという事は新しい物を買う時間やお金を抑えられるという点でも
ライフサイクルの無駄を削減出来る。
エシカルファッション×着物=「再生利用」
日本の箪笥には着物が約8億枚眠っていると言われています。
新しい物を作る事で生み出す雇用や経済も必要ですが、今ある資源を活用する事も
同じ様に雇用と経済を生み出します。
ちょうど今の私達のひいばあちゃん世代が着物は当たり前でお婆ちゃん世代は親が着物だった
のを見ていて、私達の親はもう着物は身近ではないイメージになっています。
今私達が掘り起して繋いでいかなければ、知らぬ間に処分されてしまうかもしれません。
そのまま着物として使うのも何かに変えて使うのも使い道は色々あります。
どうかあなたの近しい人が大切にして来た着物という文化を絶やさないで下さい。
ファッションと着物の未来
今回この様にエシカルファッションの観点から着物をお伝えしましたが、
私は毎日着物を着るという事から自然や人との繋がり、衣服の大切さを学びました。
フェアトレードという意味ではまだまだ課題のある着物業界ですが、
着物を毎日の衣服に取り入れる人が増える事でそれが改善され、
エシカルファッションとしての着物が洗練されたものになっていく事を願います。
そして個人のファッションを「消費」ではなく、その物に託された想いから繋がる
未来の自分への「投資」として考える事で、笑顔の循環から生まれる日本の未来を望みます。
今回の事を考えるきっかけになった記事
「ストーリーも含めて服を買う」現役慶應生モデル・鎌田安里紗が語るエシカルファッションとは